民泊を始めたいけれど「物件をどこで探すべきか分からない」──そんな悩みを抱える方は多いです。王道の東京・大阪は競合が多く家賃も高い一方、地方には地価が安く民泊需要が急増しているエリアもあります。
本記事では、データで裏付けた「安い地代 × 高需要」の立地選定法と、2025年時点で特に狙い目の3エリアを紹介します。
1. 民泊立地選びの基本ロジック
1-1. 収益方程式を分解する
民泊の収益はシンプルに整理できます。
- ADR(平均宿泊単価) × 稼働率 − 固定費(家賃・地代)= 利益
つまり、地代が下がれば利益率は跳ね上がります。逆に、家賃が高すぎると高稼働を維持しても利益は伸びません。
1-2. 地価・家賃が民泊利益に与えるインパクト
たとえば、都心と地方で家賃が月10万円違うと、それだけで年間120万円の差が生まれます。これは1泊1万円の宿泊を100泊以上販売するのに相当します。立地のコスト差が、収益に直結するのです。
1-3. 需要側指標 ― インバウンドと国内観光
収益は需要があってこそ成立します。観光庁のデータによると、訪日外国人観光客は2024年にコロナ前水準を回復し、地方分散の傾向が強まっています。また、国内ではワーケーションやリモートワークを兼ねた長期滞在需要も増加しています。
1-4. 「供給過多リスク」を避けるチェック
高需要エリアでも競合が多すぎると収益は落ち込みます。見るべきは以下の3点です。
- 競合物件数
- 平均稼働率
- 条例による規制
特に主要都市部では供給過多の懸念があり、条例の縛りも厳しくなりがちです。
2. データで掘る“穴場”エリアの見つけ方
穴場エリアを見つけるには「データに基づく分析」が重要です。ここでは骨子にあった表を残しつつ、小項目ごとに文章で補足説明します。
2-1. 公的・民間データソース一覧
以下の表は、実際に民泊立地を検討する際に使える代表的なデータとその活用方法をまとめたものです。
データ種別 | 主な取得先 | 使い方 |
---|---|---|
観光客統計 | 観光庁・自治体観光課 | 年間来訪者・季節波動を確認 |
民泊稼働率 | Airbnb Inside/AirDNA | ROAシミュレーションに使用 |
地価公示 | 国土交通省 | 家賃・購入価格の目安 |
観光庁や自治体の観光統計は「その地域にどれくらい人が来ているか」を把握する基礎資料になります。AirDNAなどの民間サービスは民泊運営に直結する稼働率や単価を提供してくれるため、収益シミュレーションに役立ちます。そして国土交通省の地価公示は、エリアごとの不動産価格を客観的に比較できる大切な基準となります。
2-2. 需給ギャップを数値化する手順
次に、データを使って需給バランスを把握します。
- 年間来訪者 ÷ 既存宿泊施設数 = 1施設当たり潜在需要
- 潜在需要が全国平均を上回るエリアを抽出
- 地価や家賃と照らし合わせて「安いのに需要が大きい」場所を発見
例えば、ある観光地に年間100万人の来訪者がいて宿泊施設が500軒だとすると、1施設あたりの潜在需要は2,000人となります。これが全国平均を超えていれば、宿泊施設が不足している可能性が高く、狙い目のエリアとなるのです。
2-3. ローカル条例と消防法チェック
最後に必ず確認すべきが法的規制です。住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づき、営業日数の上限や届出要件は自治体によって異なります(2025年8月時点)。さらに、消防法や建築基準法に基づき、誘導灯や火災報知器など最低限の設備を整える必要があります。こうした規制を軽視すると、せっかくの好条件エリアでも営業できない可能性があります。
参考:観光庁「住宅宿泊事業法ガイドライン(2025年4月改訂版)」
3. 立地判断チェックリスト
エリアを候補にしたら、次は具体的に「その立地が民泊に向いているか」を判断する必要があります。骨子で示した小項目を含め、順に解説します。
3-1. アクセス
アクセスは最も重要な要素です。空港や新幹線の駅、高速ICからの所要時間が短ければ短いほど利便性が高くなります。また、最寄駅から徒歩10分以内の立地は、宿泊者から見ても分かりやすく予約率が高まりやすいです。
3-2. 観光資源・イベント
そのエリアに人を引き寄せる要素があるかどうかも重要です。世界遺産や有名観光地、四季折々のイベントや国際会議場がある場所は、年間を通して安定した需要が期待できます。
3-3. 生活利便施設
宿泊者の満足度を大きく左右するのが周辺環境です。コンビニやスーパー、ドラッグストア、飲食店が徒歩圏内にあれば、特に長期滞在者や家族連れには大きな安心感を与えます。
3-4. 競合強度
半径500m以内にどれくらいの宿泊施設があるかを調べることで、そのエリアの競合状況を把握できます。競合が少ないエリアは価格競争に巻き込まれにくく、安定収益を狙いやすい一方、競合が多いエリアでは独自性や差別化戦略が求められます。
3-5. 規制・条例
最後に見落としてはいけないのが規制です。自治体ごとに営業日数制限や用途地域の規制が異なり、マンションでは管理規約で禁止されている場合もあります。ここを確認せずに進めてしまうと営業できないリスクがあるため、必ず事前にチェックしましょう。
契約時に気をつけるべきチェック項目については下記記事で詳しく説明しています。
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4. 【2025年版】おすすめエリア3選
4-1. 山梨県・富士河口湖町
指標 | 値 | コメント |
---|---|---|
平均家賃(1LDK) | 約5.5万円/月 | 都心の半額以下 |
平均ADR | 18,000円 | 富士山ビューで単価高 |
年間稼働率 | 72% | 通年インバウンド需要 |
ポイント
富士山+アウトドア人気で国内外ゲストが絶えず、地方でも高単価を維持。
4-2. 福岡県・博多〜天神エリア
指標 | 値 | コメント |
---|---|---|
平均家賃(1LDK) | 約7.0万円/月 | 東京23区比▲30% |
平均ADR | 14,000円 | グルメ・イベント需要 |
年間稼働率 | 68% | 空港10分+韓国近接で高需要 |
ポイント
空港アクセス抜群&イベント都市。家賃に対して稼働が高く回転率◎
4-3. 長野県・白馬村
指標 | 値 | コメント |
---|---|---|
平均家賃(戸建て) | 約6.0万円/月 | リゾート地としては割安 |
平均ADR | 22,000円(冬季) | スキー客で爆発的単価 |
年間稼働率 | 54% | オフシーズン対策が鍵 |
ポイント
冬の高単価で年間収益を底上げ。夏はMTB・トレッキング客で補完。
5. エリアを絞った後の3ステップ
実際にエリアを決めたら、次は「どう動くか」の手順を明確にしておく必要があります。ここでは3つの流れを紹介します。
5-1. 物件情報ソーシング
最初にやるべきことは物件情報の収集です。地元の不動産業者から情報を得るのも有効ですが、効率的なのは民泊マーケットのように「民泊許可済み物件」だけを扱うポータルサイトを活用することです。すでに許可が下りている物件なら、開業準備にかかる手間や費用を大きく削減できます。
5-2. 収支シミュレーション
次に、候補物件でどれくらい利益が出せるかを試算します。ADRや稼働率をもとに収益を計算し、そこに家賃や管理費、改装費や家具家電の導入費を差し引いて損益分岐点を確認しましょう。実際の数字を入れることで「やるべきか、やめるべきか」が明確になります。
収支のシミュレーションについて下記記事で詳しく説明しております。
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5-3. 契約・届出・消防設備
最後に、法的な手続きと設備対応です。賃貸の場合は契約書に必ず「民泊利用可」と明記してもらいましょう。そのうえで住宅宿泊事業の届出や簡易宿所許可を取得します。さらに、消防法に基づく誘導灯や火災報知器の設置なども不可欠です(2025年4月時点の基準)。
より詳しい民泊開業時に必要な手続きは下記記事をご覧ください。

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6. まとめ&次のアクション
民泊の立地選びで大切なのは、**「安い地代 × 高い需要」**を見つけることです。公的・民間データを用いて需給ギャップを見極め、富士河口湖・博多/天神・白馬といった注目エリアを候補に入れると良いでしょう。
エリアを決めたら、民泊マーケットで許可済み物件を効率的に探し、収支シミュレーションと契約確認を経て安心してスタートしてください。