5分で診断!あなたの物件は民泊で稼げる?法律・立地・間取り完全ガイド

5分で診断!あなたの物件は民泊で稼げる?法律・立地・間取り完全ガイド

作成日: 2025年7月30日

更新日: 2025年7月30日

はじめに:民泊ブームの今、あなたの物件も収益源に?

民泊市場の現状と将来性

日本の民泊市場は、いま大きな転換期を迎えています。日本政府観光局(JNTO)によると、2024年の訪日外国人観光客数は過去最高の3,310万人を記録し、2025年もさらなる増加が見込まれています。

民泊事業の収益性も魅力的です。例えば、東京都内の1LDKマンションで民泊を運営した場合、通常の賃貸収入が月10万円程度なのに対し、民泊では稼働率70%でも月20万円以上の収入が見込めるケースが多いです。

そんななか「自分が所有している物件が民泊に使えるの?」と疑問をお持ちの方も多いでしょう。実は、民泊に使える物件かどうかを判断するには、いくつかのチェックポイントがあります。この記事では、あなたの物件が民泊に使えるかどうかを、わかりやすく5分でチェックできる方法をお伝えします。

1. 法律・条例から見る民泊可否チェック【2025年1月時点】

民泊運営の3つの法的枠組みを理解しよう

民泊を始めるには、大きく分けて3つの法的枠組みがあり、それぞれ要件が異なります。

枠組み営業日数主な要件向いている物件・運営者
住宅宿泊事業法(民泊新法)年間180日以内住宅としての要件、届出制副業として運営したい個人
旅館業法(簡易宿所)365日可能建築基準法・消防法の要件、許可制本格的に事業化したい方
特区民泊365日可能(2泊3日以上)特定地域のみ、25㎡以上対象地域の物件所有者

住宅宿泊事業法(民泊新法)の基本要件

住宅宿泊事業法は、2018年6月に施行された比較的新しい法律で、年間180日以内という営業日数制限がある代わりに、比較的簡単な届出で民泊を始められます。

住宅として認められるためには、以下の設備が必要です:

  • 台所(キッチン)
  • 浴室(お風呂)
  • 便所(トイレ)
  • 洗面設備

これらの設備は、必ずしも独立している必要はありません。届出に必要な主な書類は、住宅の登記事項証明書、住宅の図面、賃貸物件の場合は転貸承諾書などです。詳しくは国土交通省の民泊ポータルサイトをご確認ください。

地域別条例による上乗せ規制の確認方法

国の法律をベースにしながらも、各自治体が地域の実情に応じて追加の規制を設けている場合があります。例えば、東京都新宿区では住居専用地域において月曜日正午から金曜日正午までの民泊営業を禁止しています。

条例の確認方法:

  1. 各都道府県・市区町村の公式ウェブサイトで「民泊 条例」と検索
  2. 観光課や住宅課などの担当部署に直接問い合わせ
  3. 民泊制度ポータルサイトの自治体情報を確認

旅館業法(簡易宿所)の基本要件

旅館業法の簡易宿所営業は、年間365日営業できるという大きなメリットがあります。ただし、用途地域の制限があり、住居専用地域では原則として営業できません。また、客室の延床面積が33㎡以上(宿泊者数が10人未満の場合は3.3㎡×宿泊者数以上)必要で、消防法に基づく設備の設置も求められます。

特区民泊の基本要件

特区民泊は、国家戦略特別区域内でのみ認められている民泊の形態です。2025年1月現在、東京都大田区、大阪府(大阪市等)、福岡県北九州市、新潟県新潟市、千葉県千葉市で実施されています。

主な要件:

  • 居室の床面積が25㎡以上
  • 最低宿泊日数が2泊3日以上
  • 近隣住民への事前説明
  • 外国語での施設案内の設置

年間180日の営業日数制限がなく、旅館業法ほど厳しい設備要件もないため、対象地域に物件がある場合は有力な選択肢です。

用途地域による民泊営業の可否

用途地域によって民泊営業の可否が決まります。住宅宿泊事業法ならすべての用途地域で営業可能ですが、旅館業法の簡易宿所は住居専用地域では営業できません。用途地域は市区町村の都市計画課で確認できます。

民泊に関する法律は下記記事で詳細に説明しております。

2. マンション管理規約での確認ポイント

管理規約での民泊可否の確認方法

マンションで民泊を始める際の最大の関門が、管理規約です。まずは管理規約を入手し、「専有部分の用途」「禁止事項」「営業行為」に関する条項を確認しましょう。

明確に禁止されている例

  • 「専有部分を住宅宿泊事業法に基づく民泊に使用してはならない」
  • 「宿泊料を受けて人を宿泊させる行為を禁止する」

グレーゾーンの例

  • 「専有部分は住宅として使用し、他の用途に使用してはならない」
  • 特に民泊に関する記載がない

グレーゾーンの場合は、管理組合に直接確認することをおすすめします。

管理組合との交渉テクニック

管理規約で民泊が明確に禁止されていない場合は、管理組合との交渉が重要です。

民泊導入のメリットを具体的に提示

  • 空室対策としての効果
  • 管理費・修繕積立金の安定確保
  • 防犯効果(監視カメラ設置、定期清掃)

懸念事項への対策案を準備

  • 騒音対策:ハウスルール明文化、防音対策の実施
  • セキュリティ対策:スマートロック、本人確認の徹底
  • ゴミ出し問題:専用ゴミ置き場、清掃業者による定期回収

試験運用期間を提案することで、管理組合も受け入れやすくなります。

また、これらの交渉を行う際には専門家のサポートがあると心強いです。民泊マーケットでは、 管理組合との交渉サポート も行っています。専門スタッフがサポートすることで、より説得力のある提案が可能になります。

3. 立地条件から見る民泊適性診断

あらゆる立地に民泊のチャンスがある

民泊の利用者は観光客だけではありません。ビジネス出張、長期滞在、ワーケーション、家族旅行など、様々なニーズがあり、それぞれ求める立地条件も異なります。

  • 駅近物件:ビジネス・観光客向けの王道民泊
  • 駅遠物件:車利用者向け・静かな環境を求める層向け
  • 郊外・住宅街:ワーケーション・長期滞在需要
  • 地方・田舎:自然体験・リトリート需要

駅から遠い物件の戦略

駅から徒歩20分の物件でも、以下のような工夫で集客できます:

  1. 駐車場の確保と車利用者へのアピール

    • 無料駐車場付きを前面に打ち出す
    • 近隣の月極駐車場と提携
    • レンタカー会社と提携して割引サービス
  2. 送迎サービスの提供

    • チェックイン時の駅までの送迎
    • 大きな荷物がある場合の送迎
    • 地元のタクシー会社と提携
  3. 自転車の無料貸出

    • 電動自転車を用意して移動の負担を軽減
    • 観光マップ付きサイクリングコース案内
    • 雨の日用のレインコート完備

観光地から離れている物件の戦略

観光地から離れていても、以下のターゲットには魅力的です:

  1. ビジネス長期滞在者

    • 出張で1週間以上滞在する人向け
    • キッチン付きで自炊可能をアピール
    • 高速Wi-Fiとワークスペースを完備
  2. 静寂を求める層

    • 「観光地の喧騒から離れた静かな環境」として売り出す
    • 瞑想やヨガができるスペース
    • 防音対策で仕事に集中できる環境
  3. 地元体験を求める層

    • 地元の商店街や銭湯の紹介
    • 地元民しか知らない穴場スポット案内
    • 地域のお祭りやイベント情報提供

住宅街の一軒家の戦略

住宅街にある一軒家は、実は民泊として大きな可能性を秘めています:

  1. ファミリー層向け

    • 子供が走り回れる庭付き
    • BBQができるスペース
    • 近隣の公園や児童館情報
  2. グループ旅行者向け

    • 6〜10人で泊まれる大型物件
    • リビングでパーティーができる
    • 複数の駐車スペース
  3. ペット同伴者向け

    • 庭付きでペットが遊べる
    • 近隣の動物病院情報
    • ペット用アメニティ完備

自然豊かな環境の戦略

都会から離れた自然豊かな立地は、高単価で差別化できるチャンスです:

  1. リトリート・ワーケーション

    • 「デジタルデトックス」プラン
    • 森林浴や川遊びができる環境
    • 地元食材を使った料理体験
  2. アクティビティ連動

    • 登山・ハイキングの拠点
    • 釣り・カヌー体験
    • 農業体験・収穫体験
  3. 季節限定プラン

    • 春:桜や花見スポット
    • 夏:ホタル観察、川遊び
    • 秋:紅葉、きのこ狩り
    • 冬:雪遊び、温泉

立地別の成功事例

実際に「不利」と思われる立地で成功している民泊の事例をご紹介します。これらの事例から、あなたの物件でも応用できるヒントが見つかるはずです。

事例1:駅徒歩20分でも満室経営を実現した駐車場付き物件(千葉県)

千葉県の住宅街にある築15年の2LDKマンション。最寄り駅から徒歩20分という立地でしたが、無料駐車場をアピールポイントにして、車でディズニーランドに行く家族連れをターゲットに設定。ディズニーランドまで車で20分という立地を活かし、「ディズニー前泊・後泊プラン」として売り出したところ、週末はほぼ満室に。駐車場代が浮く分、ホテルより安いという価格メリットも訴求し、リピーター獲得にも成功しています。

事例2:観光地から離れた住宅街で「暮らすような滞在」を提供(京都府)

京都市内でも観光地から離れた住宅街にある築30年の一軒家。あえて「観光地から離れている」ことを売りにして、「京都に暮らすように滞在する」というコンセプトで運営。地元のスーパーや銭湯、商店街の情報を詳しく提供し、長期滞在者向けに展開。1週間以上の滞在で割引を設定したところ、リモートワーカーや京都の大学に用事がある研究者などが利用。観光シーズンのオンオフに左右されない安定した収益を実現しています。

事例3:郊外の広い庭付き物件でペット同伴可能民泊(神奈川県)

神奈川県の郊外にある築20年の一軒家。最寄り駅からバスで15分という立地でしたが、広い庭があることを活かして、ペット同伴可能な民泊として運営。ドッグランスペースを作り、ペット用のアメニティ(食器、タオル、おもちゃ)を完備。近隣の動物病院やペット可のカフェ情報も提供。ペットと一緒に旅行したい層は宿泊施設の選択肢が限られているため、高稼働率を維持。通常の2倍近い宿泊料金でも予約が入る人気物件になっています。

事例4:地方の古民家を活用した体験型民泊(長野県)

長野県の山間部にある築100年の古民家。最寄り駅から車で40分、冬は雪で通行が困難になることもある立地。しかし、「何もない」ことを逆手に取り、「デジタルデトックス古民家ステイ」として展開。薪ストーブ、五右衛門風呂、囲炉裏など、都会では体験できない要素を前面に。地元の人による郷土料理教室、星空観察会、山菜採りなどの体験プログラムも用意。1泊2万円以上の高単価にも関わらず、予約は3ヶ月先まで埋まる人気施設に成長しています。

これらの事例から分かるように、立地の「弱点」は視点を変えれば「強み」になります。大切なのは、その立地ならではの価値を見出し、それを求めるターゲット層に適切にアプローチすることです。

💡
ポイント

立地の「弱点」は視点を変えれば「強み」になります。大切なのは、その立地ならではの価値を見出すことです。

4. 間取りから判断する民泊活用法

すべての間取りに適したターゲットがいる

どんな間取りの物件でも、それぞれに適したゲストが存在します。

  • ワンルーム・1K:ビジネス出張者・一人旅
  • 1LDK・2DK:カップル・少人数ビジネス利用
  • 3LDK以上:ファミリー・グループ旅行
  • 一軒家:大人数・長期滞在・ワーケーション

間取り別の成功パターン

狭いワンルーム→ミニマリスト向け「シンプルステイ」 15㎡のワンルームでも、「ミニマリストのための宿」というコンセプトで必要最低限の家具と設備だけを配置。ビジネスホテルより安く、かつ快適な滞在を提供。

和室のある物件→外国人観光客向け「日本文化体験」 6畳の和室でも、畳の上に布団を敷いて寝る体験は外国人にとって特別。浴衣やお茶セットを用意し、「Authentic Japanese Room」として高い人気を獲得。

間取りの特徴を最大限活かす工夫

  • 収納が少ない:短期滞在者向けにハンガーラック、充電ステーションを充実
  • リビングが広い:パーティー需要、企業の合宿・ワークショップ対応
  • キッチンが充実:料理好き・長期滞在者向けに調理器具を完備
  • バルコニーが広い:アウトドア家具を配置し、都会の喧騒から解放される空間に

民泊にはどんな間取りの物件が向いているのか下記記事で詳細に説明しております。

まとめ:あなたの物件も民泊で活用できる!

ここまで、法律面、契約面、立地面、間取り面から、あなたの物件が民泊に使えるかどうかをチェックする方法をお伝えしてきました。最後に、これらのポイントを整理してみましょう。

法律・条例面:住宅宿泊事業法と地域条例をクリアすればOK 管理規約・契約面:オーナーや管理組合の承諾が得られれば可能 立地面:どんな立地でも特徴を活かせばチャンスあり 間取り面:すべての間取りに適したゲストが存在する

あなたの物件も、きっと民泊として活用できるはずです。法律面、契約面、立地面、間取り面のどれかで不安があっても、それぞれに解決策があることがお分かりいただけたと思います。 民泊市場は今後も拡大が予想され、早期に参入することで先行者利益を得られる可能性があります。また、物件を遊ばせておくより、民泊として活用することで、資産価値の向上にもつながります。

自分で運営が難しい場合の選択肢

物件オーナーが直接運営しなくても、民泊で収益を得る方法があります。

  • 民泊向け賃貸として貸し出す
  • 民泊運営代行会社に委託する
  • 民泊マーケットで運営してくれる事業者を探す
  • 管理会社のサポートを受けながら運営する
  • 経験者のコンサルティングを受ける

特に「民泊向け賃貸」は、通常の居住用賃貸より高い家賃設定が可能で、民泊運営の手間なく安定収入を得られる魅力的な選択肢です。民泊事業者は収益事業として物件を借りるため、家賃の支払い能力も高く、長期契約も期待できます。

民泊マーケットでは、民泊利用可能な物件を探している事業者が多数登録しています。あなたの物件を民泊として運営したい事業者とマッチングすることで、通常の賃貸より高い収益を得られる可能性があります。

民泊向け賃貸活用については下記記事で詳細に説明しております。