民泊に向く物件の7つの条件──失敗例から学ぶチェックリスト完全ガイド

民泊に向く物件の7つの条件──失敗例から学ぶチェックリスト完全ガイド

作成日: 2025年8月4日

更新日: 2025年8月4日

「民泊を始めたいけれど、どんな物件を選べばいいか分からない」 「物件を購入したものの、民泊運営ができない物件だった」 「立地は良いのに、なぜか予約が入らない」

こんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。 民泊経営は、通常の不動産投資とは異なる視点で物件を選ぶ必要があります。賃貸住宅として人気の物件が、必ずしも民泊に向いているとは限りません。逆に、賃貸では人気がない物件でも、民泊では高い収益を上げることができる場合もあります。

本記事では 「民泊に向く物件の7つの条件」 を体系化し、最後に現地内覧ですぐ使える チェックリスト をご用意しました。
この記事を読み終えるころには、あなた自身の目で「この物件は民泊に向く/向かない」を判定できるようになります。ぜひ手元にメモを取りながら読み進めてください。

民泊物件選びで失敗する3つのパターン

収益性だけで選んで失敗するパターン

「表面利回り15%」という数字に惹かれて郊外の築古アパート一棟を購入したものの、観光需要が弱く稼働率は年間40%以下。結局、売却も難しくローンだけが残った、そんな相談が後を絶ちません。 数字は大切ですが、稼働率を支える “需要” と “許可” が伴わなければ絵に描いた餅です。

立地だけで選んで失敗するパターン

「浅草寺まで徒歩5分」の物件を即決したところ、用途地域が第1種住居地域で旅館業許可が取れず、住宅宿泊事業法に切り替えたら年間営業日数が180日に制限されキャッシュフローが崩壊——というケースも。
また繁華街至近の物件は夜間騒音が想定以上です。女性の一人旅やファミリー層からは敬遠され、ターゲット層を大幅に狭めることになりかねません。

物件スペックだけで選んで失敗するパターン

「70㎡超・フルリノベ済み・露天風呂付き」という魅力的なスペックでも、管理組合規約で民泊禁止 なら営業は不可能です。
またリノベ前提で購入したものの、消防設備追加や耐震補強で想定より500万円以上オーバーした例も珍しくありません。

民泊に向く物件の7つの条件

以下では、膨大な成約データと実運営者へのヒアリングを基にした「7つの判断基準」を順番に解説します。

条件1:オーナー・管理組合の許可が取れている

民泊の可否を左右する最重要ポイントです。マンションの場合、約9割が規約で民泊を禁止 しているのが実情。
管理規約のどこを見れば良いか、オーナーとの交渉で何を確認すべきか——具体的なチェックポイントは以下の通りです。

チェック項目確認方法補足
管理規約に「宿泊施設としての用途」を禁じる条項がないか規約を確認(専有部分の用途)条文があいまいでも総会決議で禁止事例あり
賃貸の場合、オーナーが住宅宿泊事業届出/旅館業許可取得に同意するか口頭ではなく書面で合意更新時に方針が変わるリスクを抑える
近隣説明・苦情窓口の設置を求められるか過去のトラブル履歴を確認共用部掲示板・24hホットライン等

※住宅宿泊事業法・旅館業法の運用状況は2025年4月時点の観光庁通知に基づきます(出典: 観光庁「住宅宿泊事業法の適切な運用について」https://www.mlit.go.jp/kankocho/)

実務TIP:許可交渉をスムーズに進める3ステップ

  1. 事業計画書を先に示す
    予想売上・清掃体制・保険加入状況を数値で提示すると安心してもらえます。
  2. 近隣配慮の施策を伝える
    ゴミ分別マニュアル(多言語)や静音チェックインシステムの導入など、トラブル抑止策を先回りで説明。
  3. 定期報告を約束する
    月次レポートで稼働状況とクレーム対応件数を共有することで、長期的な信頼関係を構築できます。
💡
ポイント

民泊マーケットなら、掲載されている全ての物件がオーナー・管理組合の許可済みです。許可確認の手間を省き、安心して物件選びに集中できます。

条件2:観光スポットや主要駅からのアクセスが良い

ゲストは 「物件→目的地」の移動時間 を最も重視します。理想は最寄駅から徒歩10分以内かつ2路線以上利用可能。
実際、当社調査では徒歩10分圏内の物件は15分圏内物件より平均稼働率が11ポイント高い 結果でした(2024年首都圏データ)。

エリア人気スポット最寄り主要駅乗換回数
東京・浅草浅草寺、スカイツリー浅草駅0
京都・祇園清水寺、八坂神社祇園四条駅0
福岡・博多キャナルシティ博多博多駅0

データで見るアクセスと稼働率の関係

  • 都市型:最寄駅徒歩5分以内 → 平均稼働85%
  • 準都市型:徒歩10分以内 → 76%
  • 郊外型:バス便 → 58%
    (2024年4月〜2025年3月 当社運用物件261件の実績)

詳細な都市別利回りランキングは下記記事をご覧ください。

条件3:周辺環境が民泊運営に適している

  • 騒音トラブルを避ける ため住宅密集地や学生街は注意
  • コンビニ・飲食店まで徒歩5分 でレビュー評価が平均0.3★上がる傾向
  • 治安指標(警視庁“犯罪情報マップ”など) をチェックし、女性ゲストや家族連れにも安心を提供

周辺環境スクリーニングの裏技

Googleマップで「深夜営業」「ライブハウス」などをワンボックス検索し、騒音リスク施設が半径100m以内にないか確認することができます。

条件4:民泊運営に必要な広さと間取り

住宅宿泊事業法の最低面積は 1人あたり3.3㎡(2025年4月改正時点)。
しかしレビュー分析では、カップルなら25㎡前後、ファミリーなら45㎡以上 で満足度・リピート率が顕著に向上しました。
稼働率を押し上げる間取りについて下記の記事で詳しく解説しています。

広さと投資効率の関係

1平米あたり投資額(家具家電+改装)とADR(平均宿泊単価)を併せて考えると、25〜35㎡帯が最も投資効率が高い ことが見えてきます。広すぎても清掃・リネンコストが跳ね上がり、PLを圧迫するので注意が必要です。

条件5:消防法・建築基準法に適合している

民泊を合法的に運営するためには、消防法や建築基準法などの各種法令に適合している必要があります。これらの法令違反は、営業停止や罰則の対象となるだけでなく、万が一の事故の際には重大な責任問題に発展する可能性があります。

必要な消防設備

民泊施設に必要な消防設備は、建物の規模や構造によって異なりますが、一般的に以下の設備が必要となります。

法規主要要件概算費用
消防法自動火災報知設備、誘導灯、消火器設置30〜80万円
建築基準法用途地域・接道要件・耐震基準ケースにより数十万円〜

※要件・費用は2025年4月時点の総務省消防庁および国交省通達を参照(https://www.fdma.go.jp/)

代表的な改修コスト事例

  • 木造2階建て戸建て(延床80㎡):感知器増設・誘導灯設置で75万円
  • RC造ワンルーム(30㎡):スプリンクラー追加不要、誘導灯と火災報知機で28万円
  • 重飲食テナント跡(60㎡):排気設備、耐火被覆やり直し含み210万円

改修コストが読めないと投資回収計画が狂います。自治体別の具体的な設備要件は下記ガイドで確認を。

条件6:初期投資とランニングコストのバランスが良い

民泊経営を成功させるためには、初期投資を適切にコントロールし、ランニングコストとのバランスを取ることが重要です。過大な初期投資は回収期間を長期化させ、キャッシュフローを圧迫する原因となります。

初期投資例(25㎡ワンルーム、東京都23区)

項目金額目安
物件取得費(賃貸:敷礼・保証金等)50万円
家具・家電・リネン40万円
許可申請・簡易リフォーム30万円
合計120万円

ランニングコストは家賃・清掃・光熱費などで月額12〜18万円が一般的と言われます。
「何年で初期費用を回収できるか?」は下記シミュレーターで一瞬で分かります。

キャッシュフロー改善のコツ

  • 清掃を自社管理に切り替えてコストを20%削減
  • 電気料金を業務用プランに変更し年間5万円削減
  • 🌱 サスティナブル施策(LED照明、節水シャワー)で光熱費を削減し「エコ民泊」として差別化

条件7:将来的な出口戦略が描ける

民泊経営を始める際、多くの方が見落としがちなのが「出口戦略」です。市場環境の変化や個人的な事情により、民泊事業から撤退する可能性は常にあります。そのため、物件選びの段階から出口戦略を考慮することが重要です。

民泊以外の活用可能性 優良な民泊物件は、以下のような転用が可能です:

  • 通常賃貸への転用:民泊需要が低下した場合でも、通常の賃貸物件として運用可能
  • マンスリーマンションへの転用:中期滞在需要に対応できる立地と設備があれば転用可能
  • シェアハウスへの転用:複数の個室がある物件なら、シェアハウスとしての運用も視野に入る
  • 事務所利用:立地によってはSOHOやサテライトオフィスとしての需要もある

売却のしやすさ 将来的に物件を売却する可能性も考慮して、以下の点をチェックしましょう:

  • 立地の普遍性:特定の観光地に依存しない、幅広い需要がある立地
  • 建物の汎用性:特殊な改装をしていない、一般的な間取り
  • 管理状態:適切なメンテナンスにより資産価値を維持
  • 権利関係の明確さ:複雑な権利関係がない、クリーンな物件

エリアの将来性 物件が立地するエリアの将来性も重要な判断材料です:

  • 都市計画の確認:将来の開発計画や用途地域の変更予定
  • 人口動態:若年層の流入が続いているか、高齢化が進んでいないか
  • 交通インフラの整備:新駅の開業や道路整備の計画
  • 周辺施設の動向:大型商業施設や企業の進出・撤退計画

リスクヘッジの考え方 民泊経営には様々なリスクが存在します。これらのリスクを最小化するための物件選びが重要です:

  • 規制リスク:将来的な規制強化に対応できる物件か
  • 競合リスク:ホテルや他の民泊との差別化ができる物件か
  • 災害リスク:地震や水害のリスクが低い立地か
  • 経済リスク:不況時でも一定の需要が見込める立地か
💡
ポイント

出口戦略を考慮した物件選びは、リスクを最小化し、長期的な資産形成を可能にします。民泊だけでなく、不動産投資全体の視点で物件を評価することが重要です。

民泊物件チェックリスト

民泊物件チェックリスト

ここまで解説してきた7つの条件を踏まえて、実際の物件選びに使える実践的なチェックリストをご用意しました。このチェックリストを使うことで、物件の民泊適性を客観的に評価できます。

チェックリストの使い方

このチェックリストは、物件内覧時や契約前の最終確認に活用してください。各項目をチェックし、該当する項目が多いほど民泊に適した物件と言えます。

評価の目安:

  • 必須項目(★印):すべてクリアしていることが望ましい
  • 重要項目(◎印):8割以上クリアしていることが望ましい
  • 推奨項目(○印):5割以上クリアしていれば十分

各項目について「はい」「いいえ」「要確認」の3段階で評価し、「要確認」の項目については、契約前に必ず詳細を確認してください。

チェックリスト項目

【許可・規制関連】

  • ★ オーナーの民泊利用許可が書面で確認できる
  • ★ マンションの場合、管理規約で民泊が禁止されていない
  • ★ 用途地域が民泊営業可能なエリアである
  • ★ 消防法上の設備基準を満たしている(または改修可能)
  • ◎ 自治体の条例による営業制限が少ない
  • ◎ 近隣に学校・病院など配慮が必要な施設がない
  • ○ 管理組合や町内会が民泊に理解がある

【立地・アクセス関連】

  • ★ 最寄り駅から徒歩15分以内
  • ◎ 主要観光地まで30分以内でアクセス可能
  • ◎ 空港からのアクセスが良い(乗り換え2回以内)
  • ◎ 複数路線が利用可能
  • ○ バス停が徒歩5分以内にある
  • ○ タクシーが捕まりやすいエリア
  • ○ 駐車場がある(または近隣にコインパーキングがある)

【周辺環境関連】

  • ★ コンビニが徒歩5分以内にある
  • ◎ スーパーマーケットが徒歩10分以内にある
  • ◎ 飲食店が徒歩圏内に複数ある
  • ◎ 治安が良い(街灯が整備されている、人通りがある)
  • ○ ドラッグストアが徒歩10分以内にある
  • ○ コインランドリーが徒歩15分以内にある
  • ○ 静かな環境(幹線道路や線路から離れている)

【物件スペック関連】

  • ★ 宿泊予定人数×3.3㎡以上の広さがある
  • ★ キッチン、浴室、トイレが完備されている
  • ◎ エアコンが設置されている(または設置可能)
  • ◎ 洗濯機置き場がある
  • ◎ Wi-Fi環境が整備できる
  • ○ 独立した寝室がある
  • ○ 十分な収納スペースがある
  • ○ バルコニーまたは洗濯物を干すスペースがある

【収益性関連】

  • ◎ 想定家賃(または購入価格)が収支計画に合致している
  • ◎ 初期投資額が予算内に収まる
  • ◎ 想定稼働率60%以上で黒字化が可能
  • ○ 繁忙期の宿泊料金を高く設定できる魅力がある
  • ○ 管理・清掃業者が対応可能なエリアである
  • ○ 競合物件と差別化できる特徴がある

【将来性・出口戦略関連】

  • ◎ 通常賃貸としても需要がある立地
  • ◎ 売却しやすい物件条件を満たしている
  • ○ エリアの発展が期待できる
  • ○ 大規模修繕の予定が当面ない
  • ○ 建物の耐震性に問題がない

効率的な民泊物件の探し方

「いい物件を見つけるまでが一番大変だった」──多くのオーナーがそう振り返ります。
インターネットには数え切れないほどの物件情報が並んでいますが、民泊の可否や必要改修コストといった“運営の核心情報”は、実は一般の不動産ポータルにはほとんど掲載されていません。そのため問い合わせをしては「民泊不可」と断られ、現地調査まで進んでようやく消防要件のハードルに気づく、といった遠回りを重ねるケースが後を絶ちません。

一般的な不動産ポータルサイトの限界

多くのポータルは「賃貸」「売買」の区分で並べ替えができる程度で、旅館業許可の取得実績やオーナー承諾の有無といった民泊特有の情報は空欄のままです。
しかも住所が非公開の場合、周辺環境や用途地域を調べようにも現地へ足を運ぶまでわからず、結果として“見込み違い”の物件調査に時間と交通費を費やすことになります。さらに、問い合わせ窓口は仲介会社ごとに分かれており、同じ質問を何度も繰り返す非効率さも避けられません。

民泊専門の物件探しが必要な理由

こうした手戻りを防ぐためには、最初から「民泊運営を前提に審査済み」の物件データベースを使うのが最も確実です。
専門サイトでは、オーナー・管理組合の承諾書類、消防・建築基準法の適合状況、想定 ADR(平均宿泊単価)や推定稼働率など、運営を開始するために欠かせない指標がワンページにまとまっています。したがって内覧の段階から投資シミュレーションを具体的に描けるため、判断スピードが大幅に向上します。

数字で見ても効果は明らかです。当社クライアント 122 件の成約事例を比較すると、一般ポータル経由の平均検討期間が 4.3 か月だったのに対し、民泊専門サイト経由では 1.6 か月。問い合わせ件数にいたっては約 5 分の 1 で成約に至っています。

民泊マーケットを活用するメリット

民泊マーケットは “許可済み物件だけ” を掲載する国内最大級のプラットフォームです。
すべての物件がオーナー承諾・管理規約チェック済みで、消防設備の設置状況や過去の行政指導履歴も確認済み。さらに、観光庁や自治体の最新ガイドラインを踏まえた情報更新を定期的に行っているため、法律改正による“思わぬ追加コスト”のリスクを抑えられます。

物件ページには、想定 ADR・年間稼働率・投資回収年数を自動計算するシミュレーターが埋め込まれており、気になる案件を比較しながら「最短で黒字化できる物件」を絞り込める設計です。検索フィルターも「住宅宿泊事業/簡易宿所」「面積 30 ㎡以上」「空港から 1 時間圏内」のように民泊特有の条件で細かく指定でき、ブックマークした物件は担当コンサルタントが追加情報をチャットで即日共有します。

民泊物件の探し方は下記ロードマップで手順を解説しています。

まとめ:失敗しない民泊物件選びのために

物件選びの最重要ポイントは、(1) 法規制をクリアしているか、(2) 需要を見込める立地か、(3) 投資効率と出口戦略の両面で筋が通っているか──の三点に尽きます。数字だけ、立地だけといった単眼的な視点ではなく、七つの条件を多角的に満たすかどうかを冷静にチェックすることが、のちのキャッシュフローとリスクコントロールを大きく左右します。

もし「情報が多すぎて整理しきれない」と感じたら、許可済み物件に特化した民泊マーケットをのぞいてみてください。必要なデータが最初から揃った状態で比較検討ができるため、検討時間と人的コストを一気に削減できます。

次の一歩はシンプルです。

  1. 本記事のチェックリストをダウンロード
  2. 民泊マーケットで条件を入力し、候補を 3 物件に絞る
  3. 内覧でチェックリストを埋め、収支シミュレーションを回す

このプロセスだけで「この物件は民泊に向くのか?」という問いに、データと肌感覚の両面から確信を持って答えられるようになります。あなたの物件選びが、理想の民泊運営につながることを願っています。